飛鳥くんはクールなんかじゃない



そしてやって来たのは、前にも来た菊川くんのお家、菊cafe。



不思議なことに、校内ではここが菊川くんの家だとバレてはいないらしい。こんなに学校からの最寄駅に近いのに。




だから、ここは隠れ家的存在なのだそうだ。


知る人ぞ知る隠れ家、みたいな。




「あら、みんなで来てくれたの?いらっしゃい」


お店に入ると、相変わらず素敵な菊川くんのお母さんが笑顔で出迎えてくれた。




各自テーブルを囲むようにイスに座る中、私の横には、学校を出たときから決して離れようとしない飛鳥くんがいる。



「……飛鳥くん?」

「なに?」

「いや、なに?じゃなくて……」


シレッとしていつも通りの無表情を決め込む飛鳥くんは、いくら私でもいまなにを考えているかわからない。



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