願い婚~幸せであるように~
「一度ゆっくりお話をさせてください。これ、私の連絡先なので、あとで連絡もらえますか?」

「あ、はい」

「良かった。お待ちしてますね!」


茅島さんは可憐に笑って、受付席に戻る。私はもらったメモ用紙をバッグにしまい、早奈子さんと外に出る。


「茅島部長も妹さんも和花ちゃんのこと、知ってる感じだったよね? 和花ちゃんはどこで会っているかとか全然覚えていないの?」

「妹さん?」

「そうよ。受付の茅島すみれさんは、茅島部長の妹。で、もちろん気付いていると思うけど、ふたりはこの会社の社長の子供ね」

早奈子さんがこの……と指差したのは、今退出したばかりのカヤシマ不動産。緊張していたからなのか、ただ鈍いだけなのか分からないが、全然気付かなかった。

私は来たときと同じようにビルを見上げた。


「まったく気付いてないんですが……あのおふたりが兄妹で、おふたりの親はここの社長ということですか? そういえば、みんなカヤシマですね」

「うん、そういうことよ。ちなみにおふたりともまだ独身」

「独身という情報は特にいらないですが……おふたりといつどこで会っていたのかは気になります」
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