願い婚~幸せであるように~
「ああ、ごめん。和花、真っ赤だね。かわいい」


素早く下だけ身に付けた幸樹さんは、スマホを持ってリビングルームへ行く。私も起きて、散らばっていた下着やパジャマを着た。

リビングを覗くと、幸樹さんはソファに座って、誰かと通話している。先ほどの着信を折り返しかけたのか、仕事の電話のようだ。

私は急いで、クリーム色のふんわりしたカットソーに黒色のスキニーパンツに着替えて、朝食作り。食パンがあるから、簡単にホットサンドにしよう。

キッチンで食パンに具を挟んでいると、幸樹さんも着替えてきて、私の隣で手元を見る。


「すぐ出来るので、待っていてね」

「うん、ありがとう。悪いけど、急に会社行くことになってね。お昼くらいには戻る予定だけど」

「いいえ、お仕事なら仕方ないです。私のことは気にしないで。気をつけて行ってきてください」

「和花は優しいな。帰ってきたら、映画でも行こう。見たいの調べておいてくれる?」

「はい………じゃなかった、うん。調べておくね」


今までの口調を改めて話すのは難しい。敬語をなくすことに慣れるには、意識しないとならない。すぐ敬語に戻ってしまう。

時間は九時を過ぎたところ。昼過ぎには戻ってこれるというなら、私はその間に掃除などを済ませられるから、好都合だ。
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