願い婚~幸せであるように~
茅島社長と同じくらいの年齢で黒髪に白髪が混じっていて、体型は中肉中背で、銀縁メガネをかけている。穏やかそうではあるが、神経質そうにも見える。

直感で、この人は父だと感じた。一緒に暮らしていた時の記憶はなく、写真でも見たことはない。だけど、名前と目元からして、確信出来た。目が私に似ている。

私は母に似ていない。雰囲気が似ているとしか言われたことがない。対面して、やはり父親似だったと確信した。


「こちらは息子さんですか? 話には聞いていたけど、会うのはは初めてですよね」

「ああ、そうですね。息子の幸樹です」

「はじめまして。いつも父がお世話になっています」

「いえいえ、こちらこそ。お隣の方は、彼女さんかお嫁さんかな?」

「はい、妻です」


茅島社長も私と父の対面に、動揺していた。家族の戸惑った様子からここに連れてきてはいけなかったと察知したようで、目が私や幸樹さん、すみれに行ったり来たりしている。

私はここで名乗るべきか、名乗らないべきか迷ったが、会釈だけした。


「いやー、美男美女でお似合いのお二人ですね。ご結婚されたのは最近ですか? なんだか初々しい感じがしますが」

「はい。一週間前に結婚したばかりです」

「それは、おめでとうございます。茅島さんもひと安心ですね」
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