願い婚~幸せであるように~
すみれが私のバッグを持ってくれたが、その時「和花……? ま、まさか……」と戸惑いの声が耳に届く。父が私に気付いたようだが、すみれが続く声を遮った。
「お母さん、ついでにアイス買ってくるね。なに味がいい?」
「そうねー。チョコがいいわ」
「はーい、チョコね!」
咄嗟の機転で、すみれが話してくれている間に幸樹さんは私を廊下へと連れ出した。
少し歩いたところにあった長椅子に座る。幸樹さんはまだ私を支えてくれている。追い付いたすみれも反対側から私に寄り添った。
まるで重病人みたいだと呑気なことを思う。
「和花、ごめんね」
「すみれ、園本先生が来るのを知ってたのか?」
「お母さんを診てくれたのは違う先生だったけど、お父さんが園本先生の意見も聞いてくると言って出ていったから……」
なるほど。それで、父が病室に来たのか……。茅島社長に悪気はないし、もちろん父にも。
だけど、私はなぜ父を怖いと思ったのだろう。気持ちが落ち着くと疑問が沸き上がる。かつて私は父を怖いと思っていたに違いないが、なにがあって怖いと思うようになったのかまでは思い出せない。
でも、二度と会いたくない。
「お母さん、ついでにアイス買ってくるね。なに味がいい?」
「そうねー。チョコがいいわ」
「はーい、チョコね!」
咄嗟の機転で、すみれが話してくれている間に幸樹さんは私を廊下へと連れ出した。
少し歩いたところにあった長椅子に座る。幸樹さんはまだ私を支えてくれている。追い付いたすみれも反対側から私に寄り添った。
まるで重病人みたいだと呑気なことを思う。
「和花、ごめんね」
「すみれ、園本先生が来るのを知ってたのか?」
「お母さんを診てくれたのは違う先生だったけど、お父さんが園本先生の意見も聞いてくると言って出ていったから……」
なるほど。それで、父が病室に来たのか……。茅島社長に悪気はないし、もちろん父にも。
だけど、私はなぜ父を怖いと思ったのだろう。気持ちが落ち着くと疑問が沸き上がる。かつて私は父を怖いと思っていたに違いないが、なにがあって怖いと思うようになったのかまでは思い出せない。
でも、二度と会いたくない。