願い婚～幸せであるように～
「和花、好きだよ。おやすみ」

「私も。おやすみ……」


嫌な夢を見ることなく、ぐっすりと眠れた。目が覚めた瞬間からホッと安心して、また彼の腕にしがみつく。

薄目を開けた幸樹さんはぼんやりする意識の中で、私の頭を何度も撫でる。猫にでもなった気分で心地よさに目を閉じて、うとうとする。今日は日曜日だから、まだ寝ていられる。

一時間後にしっかりと目を覚ました私たちは、そろそろ起きようと着替えた。


「和花、今日は俺が朝ごはん作るよ」

「えっ？ 作れるの？」


早津さんというお手伝いさんがいる家に住んでいた幸樹さんが料理をすることはなかったはずだ。

彼に作れるものがあるのだろうかと、つい失礼な返しをしてしまった。


「信じられないって、顔してるね。学生の時に半年留学したんだけど、その時は自炊していたんだよ。かなり久しぶりだし、和花みたいに凝った物は作れないけど、和花に食べてもらいたい」

「うん、食べてみたい」


どんなものを作るのか単純に興味が沸いた。今日もやはり彼から離れられない私は、キッチンで彼の動きを観察。見られると恥ずかしいと言われて、私はサラダを作りながら彼の料理する姿をチラチラと見た。
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