願い婚~幸せであるように~
卵を片手でボールに割り入れる姿にまず見惚れて、サラダ作りを中断させる。牛乳と塩を加えて、素早く混ぜる姿もかっこいい。なんでこんなにも様になるのか。

熱したフライパンにバターを入れて、溶けてきたら卵を流し込んだ……と思ったら、ここからの動きが早すぎる。

ささっと反対側に寄せたら、くるっとオムレツが宙に浮いて、ポンと白いプレートに乗った。華麗な技に私は思わず拍手。


「すごい! オムレツ作りの名人だ」

「褒めすぎ。そんな威張れるものじゃないけど、オムレツだけが得意なんだ」


照れながらもうれしそうにして、二皿目をすぐ作る。私は隣で簡単なグリーンサラダを作り終えて、ロールパンをレンジで温めた。


「わっ、ふわふわー。美味しい!」

「心配だったけど、半年の間にこれだけは何度も作っていたからね。うまく出来てよかった」

「うん、また食べたくなるオムレツだね。たまにでいいので、また作ってください」

「了解。和花にだけ作ってあげる」


片手をあげて笑う幸樹さんの笑顔に胸が締め付けられた。いろんな彼を見るたびに『好き』が増えていく。
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