願い婚~幸せであるように~
流れる時間
気掛かりなことを封印したままではいけない。後回しにしてもいけない。
月曜日になり、幸樹さんから離れなくてはいけないと分かっているのに、私は彼の背中にしがみついていた。
離れることが不安なのだ。後ろから回る私の手は彼の腹部にあり、その手はぎゅっと握られる。
「和花、やっぱり送るよ。一緒に出よう」
「ううん。今日は取引先に直行だから、ひとりで行く」
「そうか。じゃあ、俺は行くね。ごめん、和花……離してくれる?」
「うん……。行ってらっしゃい」
回していた手を離して、彼の背中をそっと押した。離れがたいけど、お互い仕事に行かなくてはいけない。
「行ってくるね。なにかあったら、なんでもいいからいつでも電話して。すぐには出れないかもしれないけど、必ず折り返すから」
「うん、ありがとう」
彼を安心させなくてはいけないと笑う私の瞳は揺れてしまう。いつまでもここに留まらせてはいられない。
私も仕事に気持ちを切り替えよう。余計なことを考える暇がないくらい仕事に集中しよう。
精一杯の笑顔を見せて、幸樹さんを送り出し、自分の身支度も整えた。
取引先最寄り駅で、中野課長と待ち合わせをしている。先に到着していた課長に「おはようございます」と声をかける。
月曜日になり、幸樹さんから離れなくてはいけないと分かっているのに、私は彼の背中にしがみついていた。
離れることが不安なのだ。後ろから回る私の手は彼の腹部にあり、その手はぎゅっと握られる。
「和花、やっぱり送るよ。一緒に出よう」
「ううん。今日は取引先に直行だから、ひとりで行く」
「そうか。じゃあ、俺は行くね。ごめん、和花……離してくれる?」
「うん……。行ってらっしゃい」
回していた手を離して、彼の背中をそっと押した。離れがたいけど、お互い仕事に行かなくてはいけない。
「行ってくるね。なにかあったら、なんでもいいからいつでも電話して。すぐには出れないかもしれないけど、必ず折り返すから」
「うん、ありがとう」
彼を安心させなくてはいけないと笑う私の瞳は揺れてしまう。いつまでもここに留まらせてはいられない。
私も仕事に気持ちを切り替えよう。余計なことを考える暇がないくらい仕事に集中しよう。
精一杯の笑顔を見せて、幸樹さんを送り出し、自分の身支度も整えた。
取引先最寄り駅で、中野課長と待ち合わせをしている。先に到着していた課長に「おはようございます」と声をかける。