願い婚~幸せであるように~
「四人って、母さんじゃなかったのか? 退院したからちょっとしたお祝いなのかと思っていたのに。なんで言わないの? わざと?」


幸樹さんがお義父さんをとがめると、父が間に入る。


「幸樹くん、私がお父さんに無理いってお願いしたんだよ、お父さんを責めないもらえるかな」


なんでまたこの人は……人に迷惑かけてまで会おうとするのか。私は会いたくないと伝えたはずだ。二度と会いたくないと。

父が幸樹さんから私へと視線を移したが、私は咄嗟に幸樹さんの後ろに隠れた。隠れきれてはいないとは思うが。

幸樹さんは背後に回った私をチラッと見る。彼の腕を後ろから掴んだ。


「和花の気持ちが伝わっていないようですね」

「いや、伝わっているよ。だから、謝罪したくて茅島さんにお願いしたんだ」

「幸樹……。とりあえず、和花ちゃんと座りなさい」

「嫌です。帰ります」


幸樹さんは私の手をしっかりと握って、ふたりに背中を向けた。彼がいてくれて、本当によかった。

ひとりだったら、言われた通りに座って震えていただろう。


「待ってくれ!」


父が大きな声を出し、私たちの前まで急いでやって来て、行く手を阻む。
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