願い婚～幸せであるように～
離婚にはよくある原因だろうけど、血の繋がりのある父がやっていたと思うと、吐き気がする。最低な行為だ。


「謝罪して、やり直したいと申し出たが、断られた。その矢先に相手の妊娠が発覚して……離婚となった」

「そのお相手の方と、再婚されたのですか？」


鳥肌の立つ事実に何も言えず、ただ目を見開いた。幸樹さんの問いに父は頷く。時おり、座卓に視線を落としながら、話を続けた。

浮気相手が妊娠してしまったから、責任を取る意味で結婚をした。母よりもその人を愛していたかどうかは分からなかったという。ただ生まれてきた子供はかわいくて、私の幼き頃に姿を重ねた。

そして、娘に会いたいと思い、母に面会を頼んだそうだ。母は私に会いたいかと聞いたが、私は会いたくないと答えた。会えないとなると、余計に会いたくなり、連れ去るという強硬手段を取った。

父の身勝手な行動に私は怯えた。連れていかれた場所は、父が新しい家族と暮らす家だった。「やめて、来ないで」と泣いたそうだ。父の再婚相手は私を疎ましく思い、「なんで連れてきたのか」と言い、私はさらに泣き……その日のうちに母のもとに返された。

恐怖と衝撃からなのか、私はその後、高熱を出した。点滴を受けるほどの容態になり、熱が下がった時には、それまでの記憶をなくした。
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