願い婚~幸せであるように~
「あ、そうだ。明日の夜、一緒に食べないか?」

「ごめん。明日は約束があるから、ダメなの。また今度ね」

「そうか。じゃあ、また今度な。おやすみ」

「おやすみなさい」


私は先にマンションのエレベーターを降りた。


そして翌日の夜、指定されたラグジュアリーホテルに行く。この中にあるフレンチレストランを茅島さんは予約してくれた。

私はホテルに入ってから、立ち止まった。こんなハイクラスなホテルのレストランは、いいお値段がするのに違いない。

クレジットカードは使用可能だろうけど、きっとまとめて支払いするだろうから、現金で渡した方がいい。たしか、財布の中身は一万円札一枚だけ……。コース料理ならなんとか足りるとは思うけど、飲み物を含むとなると厳しいかも。

茅島さんに会う前にATMに行きたいが、初めて来たホテルだから場所が分からない。辺りを見渡すと、コンシェルジュデスクが目に入った。

あそこで聞こうと体を向けたとき、後ろから肩を叩かれる。


「和花ちゃん!」

「あ、茅島さん……」

「ここで会えて良かったー。行きましょう!」

「ちょっと待ってもらえますか? ATMに行こうと思っていて」


会社近くの銀行に寄ればよかったと後悔するが、とりあえず用意しなくては安心して食事が出来ない。
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