願い婚~幸せであるように~
「和花ちゃんも今年25才だよね? それと、通っていた幼稚園はありさか幼稚園でしょ?」

「はい。実は昨夜……」


確かに私は今25才で、ありさか幼稚園を卒業している。でも、幼稚園のことは名前しか覚えていない。茅島さんとはそこの幼稚園で会っているようだ。

私が以前東京に住んでいたのは、小学一年生の夏休み前までだった。

だから、同じ学校か幼稚園に通っていたのかもしれないと昨夜思って、写真で確認しようとしたが、昔の写真をすべて実家に置いてあるので、確認出来なかった。

そのことを話すと、茅島さんは残念そうな顔をした。


「ごめんね。卒園アルバムをここに持ってこようかとも考えたのだけど、意外に重かったから持ってこなかったの。私、和花ちゃんの隣に写っているのよ。そうだ! 来週の日曜日、うちに来てくれない? 一緒にアルバム見ましょう」

「えっ? 茅島さんの家に?」

「うん。ねえ、茅島さんって呼ばれると悲しくなるから、すみれって呼んで? お願い」

悲しそうな表情でお願いされてしまうと、思い出せないのが本当に申し訳ない気持ちになる。


「すみれちゃん……は、一人暮らし? それともご家族と住んでいるの?」


ぎこちなく、『すみれちゃん』と呼んだら、嬉しそうに笑ってくれて、ホッとした。
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