願い婚~幸せであるように~
「私、お兄さんのことも全然覚えていないから、本当に行ってもいいのかなと……」

「うん、本当に来てもいいのよ。兄もね、昨日和花ちゃんが覚えてなさそうだったのを悲しそうにしていたのよ。だから、来てね」

「悲しそうに? まさか……」


昨日茅島部長とはあまり話をしていないが、無表情のなかで、悲しそうというよりも怪訝そうな表情を少しだけ見せていた。


「兄はよくクールだと言われていて、家族が見ても感情が分かりにくい時あるけれど、昨日は和花ちゃんに会えて驚いていたし、喜んでもいたのよ」

「確かに驚いていたような……でも、喜んではいたようには……」

「和花ちゃんが突然いなくなってしまった時は、私たち本当に悲しかったの。だから、元気な姿の和花ちゃんに会えてうれしかった。兄の誕生日パーティーには、都合が悪くなければぜひ来て」


何度も誘われると、逆に断るのが申し訳なくなり、頷いてしまう。他に予定がないので、都合は悪くない。

ただ私にはふたりと同じように、会えてうれしいという感情はなく、戸惑うばかりだが。

誕生日だから、なにかプレゼントを持参したいと思うけど、何がいいか分からなくて淳平に相談した。

男性への贈り物だから、淳平の意見が参考になるだろうと思って。だけど、淳平は険しい顔をして、なんでそんなことを聞くのかと逆に聞いてきた。
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