願い婚~幸せであるように~
私は早奈子さんの左斜め後ろに立って、やり取りを眺めた。ふたりの女性が立ち上がって挨拶をしてくれた。

応対して、今内線電話をかけてくれている沢田さんの外見はクールビューティな感じであるが、話し方は柔らかい。

受付業務にピッタリな人だなと見ていると、隣に立つ目がパッチリとしたかわいらしい人が話し掛けてきた。


「あの、山口さん。こちらの方は?」

「私の後任の平原です」

「はじめまして、平原と申します」


私のことを聞いてきた女性の胸元の名札には『茅島』と書かれていた。沢田さんよりも年下で私と同じくらいの年齢に見える。

名乗りながら名刺を茅島さんに渡す。彼女は名刺を見てから、私をじっと見つめる。

こちらも改めて彼女を見るが、女の私から見ても、見惚れてしまうくらい可愛らしい顔立ちだ。

それに、毛先にウェーブがかかっているふんわりとした髪はハーフアップにされていて、清楚系な雰囲気が好印象を与える人だ思った。

でも、この大きな魅力的な目で見つめられるとなにかしてしまったのかと不安になる。なにもした覚えはない。ここに来たのも初めてだし、この人にも会うのも初めて。


「平原和花さん」

「はい」

「私、ものすごく記憶力がいいのですが」

「はあ……」


なぜ記憶力の話?
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