願い婚~幸せであるように~
座ったものの、落ち着きなく首をあちらこちらに動かしていたが、程なくしてティーポットとカップを乗せたトレイを持ったすみれちゃんが戻ってきた。


「お待たせ」

「ありがとう」

「まさかすみれちゃんが持ってくるとは思わなかった」

「いつもなら、早津さんかお母さんに頼むんだけど、今はパーティーの準備で忙しくしてるからね」


早津さんは私たちが到着した時に出迎えてくれた50代後半くらいのお手伝いさん。いつもいるお手伝いさんは早津さんだけで、主な仕事は料理と洗濯で、掃除はハウスクリーニングを頼んでいるそうだ。

今日のパーティーの用意は、早津さんとすみれちゃんのお母さんでやっているらしい。

今日は家族と私だけの五人だから、ふたりで充分手は足りるが、他の家族のパーティーだとゲストの数が多いから、ケータリングサービスを頼んでいるという。

さすがだなと感心していると「そうそう」とすみれちゃんが一冊のアルバムを棚から取り出した。


「それ、卒園アルバム?」

「うん、そう。和花ちゃんちにもあるよね?」

「多分あるとは思うけど、見た記憶がなくて……」

「そうなの? ほら、ここ! 和花ちゃんと私よ」


ページを何枚かめくって、もも組と書かれた集合写真のページでここ!と止めた。
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