願い婚~幸せであるように~
妹の友だちが元気でうれしいという意味かも。そこに特別な意味はないと勝手判断して、安堵する。

再びリビングルームに行くと、テーブルにたくさんの料理が並べられていた。


「和花ちゃんはすみれの隣に座ってね。幸樹はそこよ」

「はい、ありがとうございます」


言われた通り、すみれちゃんの隣に座る。私たちの向かいにはすみれちゃんのご両親が並んで座っていた。

部長は、仏頂面でこの長方形テーブルの短辺の部分に座る。お誕生日席と言われる場所に座る主役から、グラスがシャンパンが注がれる。

が、注いでいるのがまさかの茅島社長。社長の顔はホームページで見たことあるが、実際お会いするのは初めてだ。


「どうぞ」

「ありがとうございます」

「すみれのお友だちだそうですね」

「お父さんは和花ちゃんに会うのは初めて?」


社長とも昔、会ったことがあるだろうか? すみれちゃんの質問に社長は優しく微笑んでから、小さく首を横に振る。


「多分初めてだと思う。みんなは昔会っているそうだね。昔、この辺りに住んでいたのかな?」

「えっ、あの……」


自分が昔住んでいた場所は東京としか知らない。何区なのかも、どんな家だったのかも知らない。
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