願い婚~幸せであるように~
みんながほぼ食べ終わる頃、タイミングよくワゴンに乗ったケーキが運ばれてくる。
早津さんが部長の前に置く。もちろんロウソクは立っているが、28本ではなく、二本だけだった。
それを見て「なるほど」と部長は感心した声を出す。『2』と『8』という数字のロウソクが真ん中にある。
売られている数字ロウソクは見たことがあるが、実際に使用されているのを見るのは初めてだった。数字の方がかわいらしく見えてしまうのは、フルーツたっぷりのタルトのせいかも。
白い生クリームのケーキを想像していたから、違ったことをすみれちゃんにこそっと話す。
「タルトって、珍しいね」
「うん。生クリームが苦手な人なのよ。タルトやパイは好きなんだけどね」
「そうなのね」
「では、おつけしますね」
早津さんがロウソクに火をつける。部長以外が立ち上がるから、私も立ち上がって、みんなに合わせてバースデーソングを歌った。
歌い終わると同時に「ふー」と部長が吹き消す。二本だけだから、難なく消えた。無表情だった部長は、消えた瞬間微かに口元を緩めた。
「幸樹、おめでとう。はい、私たちから」
「お兄ちゃん、おめでとう! はい、プレゼント」
「ありがとう」
早津さんが部長の前に置く。もちろんロウソクは立っているが、28本ではなく、二本だけだった。
それを見て「なるほど」と部長は感心した声を出す。『2』と『8』という数字のロウソクが真ん中にある。
売られている数字ロウソクは見たことがあるが、実際に使用されているのを見るのは初めてだった。数字の方がかわいらしく見えてしまうのは、フルーツたっぷりのタルトのせいかも。
白い生クリームのケーキを想像していたから、違ったことをすみれちゃんにこそっと話す。
「タルトって、珍しいね」
「うん。生クリームが苦手な人なのよ。タルトやパイは好きなんだけどね」
「そうなのね」
「では、おつけしますね」
早津さんがロウソクに火をつける。部長以外が立ち上がるから、私も立ち上がって、みんなに合わせてバースデーソングを歌った。
歌い終わると同時に「ふー」と部長が吹き消す。二本だけだから、難なく消えた。無表情だった部長は、消えた瞬間微かに口元を緩めた。
「幸樹、おめでとう。はい、私たちから」
「お兄ちゃん、おめでとう! はい、プレゼント」
「ありがとう」