願い婚~幸せであるように~
すみれちゃんのお母さんとすみれちゃんがプレゼントを渡すのを見て、持ってきた箱がここにないことに慌てる。


「どうしよう。すみれちゃんの部屋に置いてきちゃった」

「あ、忘れちゃったね。取りに行こう」


ふたりで二階に向かおうと階段をあがる途中、突然すみれちゃんが足を止める。


「いいこと、思い付いた! ちょっと待ってて」

「うん……」


また下に降りていったすみれちゃんはすぐに戻ってきた。太めの赤いリボンを持って。
なんのためのリボンだろう?

すみれちゃんの部屋に入ると、なぜかドレッサーの前に連れていかれる。そして、なぜか頭に赤いリボンを付けられた。


「ええっ! なんで?」

「ビックリするといいね」

「まさか、これで下に行くの?」

「そうよ。はい、これも持ってね」


すみれちゃんはいたずらをする子供みたいに楽しそうに笑って、私の手を引く。こんなリボンをつけて、登場するなんて恥ずかしすぎる。

だけど、この姿を見て、部長がどう反応するのか興味はある。ドキドキしながら、リビングルームに戻った。


「お待たせ。お兄ちゃん、和花ちゃんからもプレゼントがあるって。ほら、入って」
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