願い婚~幸せであるように~
すみれちゃんがこっそり圭子さんは、伯母だと教えてくれた。カヤシマ不動産の御曹司である部長だから、相手はどこかのご令嬢がふさわしいということでのお見合い写真。

お見合いで決めるのには納得できるけど、少し寂しい感じもする。


「一応受け取っておくけど」


部長は受け取った紙袋を足元に置いた。興味があるのかないのかは無表情で読み取れない。


「そうだ、毎年恒例のあれをしてもらわないとな」


社長があることを思い出し、手をパンと叩く。部長は目をちらりと社長に向けて、嫌そうなため息をついた。


「今年も?」

「そう。28才の抱負を述べなさい」


部長はもう一度ため息をついて、顎に手を当てて考える顔をした。何を言うのだろう。

私はすみれちゃんにそっと訊く。


「すみれちゃんも誕生日に毎年抱負を言っているの?」

「ううん、私は言ったことないよ。お兄ちゃんだけ」


毎年恒例というから、家族全員がやっているのかと思ったが、どうやら部長だけのようだ。なぜ部長だけかまでは聞けなかったが。

考えがまとまったのか、部長は立ち上がった。そして、なぜか私を真っ直ぐと見る。
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