願い婚~幸せであるように~
意志の強そうな瞳に見られて、胸がドキッとする。かなりのイケメンの目力は迫力もある。


「結婚します」

えっ、結婚?


「ほお、お見合いを前向きに検討するというのだな」

「はい。で、母さん」

「私? なに?」


部長は足元の紙袋を手にして、ご両親の方へ向けた。


「これはお返ししてください」

「えっ? 返すの? でも、今結婚するって言ったわよね?」

「もしかして、幸樹。付き合っている人がいるのか?」

「いや、いない」


ご両親とのやり取りを見て、すみれちゃんと顔を見合わせた。結婚すると言ったが、お見合い写真は返して、恋人もいない……どうやって結婚すると考えているのだろうか。

すみれちゃんと一緒に首を傾げる。


「やはりいないよな? じゃあ、どこで探すつもり?」

「探さない。やっと会えたから」

「会えた? 誰に?」


社長の質問に部長は返さず、なぜかまた私を見る。

なに? どうして私を見るの?


「えっ、お兄ちゃん。まさか……」


なにかを察したすみれちゃんが驚きの顔で部長を見るが、彼はそれを無視して、私の前まで来た。みんなが部長の動きを目で追う。


「和花ちゃん」

「は、はい」
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