願い婚~幸せであるように~
下の名前を呼ばれて、思わず立ち上がる。彼の呼ぶ『和花ちゃん』が懐かしい響きに聞こえた。

昔呼ばれていたからだろうか。


「結婚しよう」

「えっ?」

「俺と君、結婚しよう」

「部長と私がですか?」


唖然としながらも確認すると口元を緩めて、部長は頷いた。

ちょっと待って……結婚すると言ってたけど、私と結婚?

どうして私と?

混乱する頭の中を整理しようとしても、出来ない。情報が少なすぎる。誕生日パーティーに出席しただけなのに、プロポーズされるとは予想外すぎる。


「わあー、和花ちゃん! 夢が叶うね! すごいよ!」


混乱する私の肩を揺さぶるすみれちゃんの声は興奮していた。

夢が叶う?

全然状況が飲み込めない私は目をパチクリさせて、すみれちゃんを見た。


「すみれちゃん、どういう意味?」

「ほら、さっき見せた卒園アルバムのよ。こうくんって、お兄ちゃんのことよ。こうくんは、茅島幸樹でこの人」


すみれちゃんは、ビシッと部長を指差した。あのこうくんとは、この茅島幸樹?
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