願い婚~幸せであるように~
「和花ちゃんがいなくなって、俺たち兄妹はかなり落ち込んだ。でも、子供だったから無力で……願うことしか出来なかった。どこで暮らしていても、幸せに笑っていられることをいつも願っていた。大人になって元気に働いている和花ちゃんに会えて、嬉しかった。大人になった俺は出来ることをしたい。これからもっと幸せになる姿を見届けたいし、俺がより幸せにしたい。だから、結婚してくれない?」

私の幸せを願ってくれていた部長の真っ直ぐな気持ちは、心の奥深くまで染み込んでいく。こんなにも想ってくれる人がいたなんて……。

昔もこんなふうに言ってくれたのかもしれない。だから、私は迷うことなく『こうくんのおよめさん』と書いた。

迷う気持ちが消えていく。


「はい。よろしくお願いします」


彼は「ありがとう」と微笑んで、私により近付いて、抱き締めた。

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