願い婚~幸せであるように~
結婚するまで
いざ結婚すると決めても、すぐに出来るものではない。いろいろ手続きもあるし、準備もある。

結婚式は簡単にというのが、ふたりの一致した希望だったので、家族だけで行うことにした。1か月後にとある教会を部長が予約してくれた。

結婚すると決めたけど、実感が湧かないまま時間が過ぎていく。


「俺たちが住むマンションなんだけど、ふたつ候補があるから、和花ちゃんに見てもらって最終決定をして欲しい。今度の土曜日の午後、空いてる?」

「空いています。でも、私が決めていいんですか?」

「もちろん。俺はどちらも気に入っているから、和花ちゃんに決めてほしい」


カヤシマ不動産が管理しているマンションから部長が選んでくれていた。この先、家族が増えたら、また住むところを考えたらいいが、当面はふたりで暮らす場所として考えて欲しいと言われた。

約束の日、部長は迎えに来てくれる。私は約束の時間より少し早めに外に出て、彼を待った。


「和花、出掛けるの?」

「うん。淳平は今帰ってきたの? おかえり」

「ああ、ただいま」


スーツケースを手にしている淳平は、部長の誕生日パーティーの翌日から約一週間の海外出張だった。


「お土産はあとで渡しに行くけど、何時に帰る予定?」
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