願い婚~幸せであるように~
顔をあげると、きれいな寝顔の幸樹さんがいる。あー、そうだった。お試しをしたのだった。

今の状況を思い出して、ふと何の気なしに彼の体に顔を寄せる。「ん……、和花?」と彼が目を開けて、私の頭を撫でる。


「起こしてしまいました? ごめんなさい。おはようございます」

「おはよう。ううん。苦しそうにしていたけど、大丈夫だった?」

「苦しそうに? 」

「うん。なんか嫌な夢でも見ていたのか、うなされていたから、心配になって背中をさすった。そしたら、穏やかな顔になったけど」


嫌な夢を見たような気がしたけど、気持ちよく眠れていて、目覚めはスッキリしていた。温かい空気の中にいたよう感じがしたのは、背中をさすられていたからかも。

彼がいてくれたおかけで、嫌な夢を見たあとでも目覚めが良い。いつもなら最悪な寝起きで、モチベーションをあげるのに苦労していた。


「で、どうだった?」

「えっ、あ、お試しのことですか?」

「うん」

「問題なくよく眠れました。幸樹さんは?」


幸樹さんは苦しそうにする私の声で起きたようだから、よく眠れていないのでは?

心配顔の私の頬に手を触れて、笑みを浮かべる。


「俺もよく眠れたよ」

「本当ですか? でも、私の声で……」

「大丈夫だよ。熟睡できたし、何よりも隣にいることが嬉しいからね」
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