願い婚~幸せであるように~
どちらも問題ないということで、ベッドはひとつに決まった。幸樹さんが今使っているベッドと同じメーカーのをオーダーしてくれる。
家電用品はネット注文をして、配送日を結婚式の前日に指定する。
あとは、それぞれの荷物を運ぶ。私は早々と今のマンションの解約手続きを済ませていて、引っ越し業者の手配もしていた。
結婚まで1か月しかないから、慌ただしい。
翌日の夜。仕事を終えた私は母とオフィス最寄りのカフェで待ち合わせて、とある老舗の料亭に行く。
和服姿の女将さんが、予約してある個室まで案内してくれる。私は初めて来たのに、母は来たことあるようで「懐かしい」と呟いた。
「こんばんは。ご無沙汰しております」
「ご無沙汰? えっ? あの、お名前お伺いしてよろしいかしら?」
「はい、茅島幸樹です」
「茅島……幸樹……、ええっ? ちょっと、和花。なんで名前を教えておいてくれないのよ?」
「なんでって、聞かれなかったから」
幸樹さんは立ち上がって、私たちを出迎えてくれた。母には取引先の会社の人とだけ話してあった。
だから、母はもちろん初対面だと思って、とにかく会わせなさい!と上京してきた。私は彼のことを覚えてなくても、母はしっかり覚えていた。
家電用品はネット注文をして、配送日を結婚式の前日に指定する。
あとは、それぞれの荷物を運ぶ。私は早々と今のマンションの解約手続きを済ませていて、引っ越し業者の手配もしていた。
結婚まで1か月しかないから、慌ただしい。
翌日の夜。仕事を終えた私は母とオフィス最寄りのカフェで待ち合わせて、とある老舗の料亭に行く。
和服姿の女将さんが、予約してある個室まで案内してくれる。私は初めて来たのに、母は来たことあるようで「懐かしい」と呟いた。
「こんばんは。ご無沙汰しております」
「ご無沙汰? えっ? あの、お名前お伺いしてよろしいかしら?」
「はい、茅島幸樹です」
「茅島……幸樹……、ええっ? ちょっと、和花。なんで名前を教えておいてくれないのよ?」
「なんでって、聞かれなかったから」
幸樹さんは立ち上がって、私たちを出迎えてくれた。母には取引先の会社の人とだけ話してあった。
だから、母はもちろん初対面だと思って、とにかく会わせなさい!と上京してきた。私は彼のことを覚えてなくても、母はしっかり覚えていた。