願い婚~幸せであるように~
微かな隙間から熱い舌が滑り込んできたけど、どう応じたらいいのかよく分からない。ただ逃げてはいけないと、されるがままで受け止める。

口内からの熱が体にも移っていき、キスの合間に吐息が漏れてしまう。

恥ずかしく「んっ……」と漏らすと、幸樹さんの体がビクッと揺れた。彼は唇を離して、強く抱き締める。


「ごめん。嫌じゃなかった?」

「いえ、嫌ではないですけど」

「けど、なに?」

「けど……恥ずかしいですね」


伝えるのも恥ずかしくて、彼の胸に顔を埋めた。真っ赤な顔を見られたくない。しかし、見えてしまう部分がある。


「和花、耳まで真っ赤になってる」

「言わないで……」


「ごめん、ごめん」と言いながら、熱を持った耳に彼は口づけた。さらに恥ずかしいことをされて、首を横に振る。彼はそんな私の背中をポンポンと軽く叩いた。

恥ずかしさから目を泳がすと、フォトフレーム近くにある木目調の置時計が視界に入る。短針が六のところにあった。


「そろそろご飯の支度しますね」

「手伝えなくて、申し訳ないけど、その間仕事していてもいいかな?」

「はい。お休みの日なのに、お仕事あるんですね」

「週明けにある会議の資料で確認しておきたいところがあってね。でも、すぐ終わらせるよ」
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