願い婚~幸せであるように~
呆然とする私を幸樹さんは横にさせて、頭を撫でてから、手を繋いで「おやすみ」と目を閉じた。私はじっと彼の横顔を見る。

本当になにもしないようだ。こんな初夜でいいのだろうか?

固まるほど緊張する私を気遣ってくれているのだろうけど、自分に魅力がないのかと不安にもなる。

目を閉じている幸樹さんをしばらく見つめていると、その目が不意に開いた。


「なんか視線を感じるなと思ったら……」

「ご、ごめんなさい」

「眠れない? 気になることでも?」

「あの、どうして何もしないんですか? 一応しょ、初夜なのに」

「和花の口から初夜と言われると堪らないね。どうして?か……」


幸樹さんは繋いでいた手を離して、横向き状態でベッドに肘をつけて頭を支えた。質問にどう答えようか考えているようだ。

答えが出たのか目を伏せてから、私を見据えた。


「だって、和花はまだ俺を好きじゃないよね? いいなと思う程度じゃない?」

「えっ? そんなこと……いえ、そうかもしれないけど。でも、結婚したからするものだと思っていたし、好きと断言できなくても、嫌いでは絶対ないから」

「うん、和花の言うとおりだろうね。だから、嫌いではないじゃなくて、好きだからしたいと思えるようになったら、言って?」
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