願い婚~幸せであるように~
彼は「えっと」とタブレットで予定を確認しながら、コーヒーをひと口飲んだ。


「あ、今夜は会合があるんだった。八時に終わる予定だけど、家に着くのは九時になるかな」

「分かりました。じゃあ、夕食はいらないですよね?」

「うん。ごめんね、一緒に食べれなくて」

「いえ、お仕事だし。気にしないでください」


平日の夜も外食が多いが、出来るだけ家で食べるようにすると昨日話していた。一緒に過ごせる時間を増やすために言ってくれたが、無理して欲しくはない。

平日一緒に過ごす時間が少ない分は休日で挽回したらいいのでは?と話すと、休日もたまに出勤することがあると申し訳なさそうに言われた。

幸樹さんが忙しい人だとはすみれから聞いていた。結婚しても家にいる時間が少ないだろうから、いつでも私を呼んで!と。

すみれらしくて笑ってしまったが、すみれも私のことを考えてくれていて、うれしくなった。

でも、今夜はひとりで食べようかな。


「送ってくれて、ありがとうございます」

「ううん、がんばって」

「はい。幸樹さんもがんばってくださいね」


車通勤している幸樹さんに会社近くまで送ってもらう。普段はもう少し早い時間に出勤するらしいが、今朝は私に合わせてくれた。
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