願い婚~幸せであるように~
まさか社長室でお弁当を広げることになるとは……。
わが社は二十階建てのオフィスビルの中に入っている。七階と八階を借りていて、七階は仕切りなしのワンフロアになっていて、八階には会議室とミーティングルーム、社長室がある。
社長室に入るのは久しぶりだった。
応接セットのソファに腰かけて、社長と対面する。彼は、近くのサンドイッチ店で買ってきたというクラブハウスサンドの箱を開けた。
弁当箱と箸を持つ私に笑顔を向ける。
「幸樹くんとの生活はどう?」
「どうって……そうですね。あ、すみません、いいでしょうか?」
「どうぞ」
答えようとしたときに、私のスマホが振動した。画面に表示されているのは『幸樹さん』という文字。それを社長に見せると快諾してくれたので、この場で「はい」と耳に当てる。
昼休みにわざわざ掛けてくるのは急用かもしれない。
『和花、今大丈夫?』
「はい、どうされました?」
『うん、ちょっと声が聞きたくなってね? 疲れていない?』
「こ、声? はい、元気ですよ」
『お弁当はひとりで食べているの?』
「いえ、あの榊社長と……」
社長に視線を向けると彼は「貸して」と手を伸ばしてきた。
わが社は二十階建てのオフィスビルの中に入っている。七階と八階を借りていて、七階は仕切りなしのワンフロアになっていて、八階には会議室とミーティングルーム、社長室がある。
社長室に入るのは久しぶりだった。
応接セットのソファに腰かけて、社長と対面する。彼は、近くのサンドイッチ店で買ってきたというクラブハウスサンドの箱を開けた。
弁当箱と箸を持つ私に笑顔を向ける。
「幸樹くんとの生活はどう?」
「どうって……そうですね。あ、すみません、いいでしょうか?」
「どうぞ」
答えようとしたときに、私のスマホが振動した。画面に表示されているのは『幸樹さん』という文字。それを社長に見せると快諾してくれたので、この場で「はい」と耳に当てる。
昼休みにわざわざ掛けてくるのは急用かもしれない。
『和花、今大丈夫?』
「はい、どうされました?」
『うん、ちょっと声が聞きたくなってね? 疲れていない?』
「こ、声? はい、元気ですよ」
『お弁当はひとりで食べているの?』
「いえ、あの榊社長と……」
社長に視線を向けると彼は「貸して」と手を伸ばしてきた。