願い婚~幸せであるように~
「おお! ふたりともすごいきれいだね」

「ふたりとも、きれいですか?」

「もちろん平原さんはきれいだけど、幸樹くんもきれいな顔してるよね?」

「確かにきれいですけど、かっこいいが合っていますよ?」


私から見たらきれいではなくて、男らしくてかっこいい。寝顔はきれいだったけれども。

思わず否定的に答える私に社長はまた笑う。


「なるほどねー。かっこいい旦那さまが、平原さんのお気に入りなんだね」

「一応結婚を決めたくらい気に入ってはいます」


プロポーズされたからと言って、誰にでもオーケーはしない。幸樹さんが結婚相手に私を選んだように、私も幸樹さんを選んだ。

彼だから結婚したいと思えたのだ。だけど、お気に入りなのは、かっこいい部分からではない。かっこいいとはもちろん思っているが。

出逢ってからの時間は短いけれど、彼の想いは心にちゃんと響いていた。


「うん、そうだよね。幸樹くんも平原さん負けないくらい真面目だしね。いろいろ心配だったけど、ふたりがいい夫婦になれそうで安心したよ。今日は急にお願いしてしまったけど、話が聞けてよかった。ありがとう」

「いえ、こちらこそありがとうございます」

社長は幸樹さんについて、事細かに語ることはしなかったが、ふたりの間にある信頼関係の度合いが大きいことが分かった。
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