願い婚~幸せであるように~
彼は小さく息を吐いた。ため息が出るほど、私の浅はかな行動に呆れた?

何をどう言ったらいいのかと、より必死に考えながら、至近距離にいる彼を見つめる。彼は抱きしめる力を強めて、安心した声を出した。


「良かった。気持ちに気付くのが遅くて」

「えっ?」

「もしかしたら、今こんなふうに和花を抱きしめるのが彼だったらと思うと、怒り狂うかも」

「そ、そんなにも?」


怒り狂うなんて、少々物騒な言葉が優しい幸樹さんから出るのは思いもしなかった。でも、それだけ私を想ってくれていると思うと、うれしくなる。

私も手を彼の背中に回して、ぎゅっと力を入れた。


「お風呂入ってくるね。和花はちゃんと乾かして」

「はい」


幸樹さんは少し恥ずかしそうな顔で、タオルを渡してからグラスをキッチンへ持っていった。私は幸樹さんが座っていた椅子に腰掛けて、ぼんやりとタオルで髪の毛を撫でる。

確実に幸樹さんを好きになっている。彼に嫌われたくないと思うし、心配掛けたくないとも思う。

それに妬いたと言う彼も、恥ずかしそうにする彼も愛しく思えてきた。夫婦になって、三日目。まだまだお互い知らないことはある。徐々に知っていけて、近付けたらいいと思っていたけど、早く知りたいとも思う。

この日もわたしたちは同じベッドでただ眠っただけ。
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