願い婚~幸せであるように~
私たちは顔を見合わせて、笑った。イケメンであるよりも、元気な子であることを願う。親ならば、誰もがそう願うだろう。


「来月のプレゼンは平原さんがされますか?」

「はい。前に提出したメンバーで、私の代わりに平原が入ります。他は変更ないので、今回は主に中野がやる予定で進めています」

「なるほど。中野課長だったら、安心できますよね。私はライラさん推しなので、ぜひともがんばってください。平原さん、なにか不明な点等ありましたら、いつでも連絡くださいね」

「はい、ありがとうございます」


新しいカタログを来週辺りに届けることを約束してから、早奈子さんと降りるエレベーターを待った。


「加藤さん、優しそうな人で安心しました」

「うん。大きい会社だけど、気さくでいい人が多いからね」

「はい、がんばります」


社会人になって三年目になるが、まだまた未熟者だ。大きな会社を担当するのを初めてだから、緊張していた。

エレベーターで一階まで降り、受付に「ありがとうございました」と挨拶をして、通り過ぎようとしたが、「平原さん!」と呼ばれて足を止めた。

呼び止めたのは、受付の茅島さん。彼女は受付席から出てきて、私の前に立つ。
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