願い婚~幸せであるように~
この日の夜、珍しく幸樹さんからの質問が多かった。まずはなぜか加藤さんのこと。


「加藤みたいなタイプ、どう思う?」

「加藤さんは、初めて見たときからいい人と思っています。今日の加藤さんは、親しみの持てるいい人でしたね」

「親しみの持てる?」

「はい。ああいう方とお友だちになれたら楽しいだろうなと」


私の返事に幸樹さんは眉をピクッと動かした。気にさわるようなことを言った覚えはないけれれど、なにかいけないことを言ってしまったかと不安になる。


「ふーん、お友だちねー。川中さんは?」

「川中さん……ですか? 良い先輩ですけど、どうして川中さんのことを聞くんですか?」

「加藤が、和花と川中さんの息がピッタリだったと言っていて、仕事以外でも仲がいいのかなと思って」

「息が合っていたのは多分練習を何回もしたからだと思います。仕事以外で関わりは特にないですけど」


なぜ川中さんのことも聞くのか不思議になったが、加藤さんが言っていた『意外に独占欲高め』を思い出す。

独占欲?

まだ不機嫌そうな顔をしている幸樹さんをじっと見る。彼が不機嫌で、よく分からない質問をしてくるのは、私を独占したいから?


「幸樹さん。どうして加藤さんや川中さんの話をするんですか?」
< 97 / 182 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop