光ヘ
『……』

すると廊下の先の方から同じクラスの滝川が顔を歪めながら歩いて来た。
どうやら…

足を捻ったようだ。

大丈夫かな……?


バサバサッ!

滝川の持っていた教科書が音をたてて落ちた。

『…くそっ』

あたしは、痛みを堪えながら必死に拾おうとしている滝川の教科書を拾おうとした。

『さわんな!!!』

滝川は、"あなたに拾われるのは嫌です"と言わんばかりの目で訴えていた。

だが、あたしは困っている人を見捨てたり、見過ごす事ができない…


『…はい…』

教科書のほんの端っこを持ち、滝川に差し出すと滝川はびっくりした顔で受け取ってくれた。

『…あ…あぁ…』

あたしは首を一度縦に振ると、何事もなかったように教室に戻った。
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