ママの手料理
続いて、私が控えめにそう問うと、


『僕は特に驚いてませんね。僕みたいな恋をする資格なんてない人間から見たら、男女関係なく誰かに恋をするのはとても素敵な事だと思うので。ただ、心底羨ましいです』


と、航海にしては珍しく、照れくさそうに頭を掻きながら答えてくれた。


仁さんも銀ちゃんも、


『この時代、恋愛なんて何でもありでしょ?大也が僕らに早く言ってくれればいいのにって思ってたよ。…あ、因みに僕の夢は一夫多妻を実現する事だからね』


『知らねぇけど、まあ良いんじゃねぇの?そもそも他人が人の恋愛話に口突っ込んじゃいけねーだろうが』


とまあ、普通に大也の事を認めて受け入れているようだった。



大也の告白が承諾される事は無かったが、彼の、


「失恋したのに尚琥珀の事想い続けられるなんて最高なんだけど!明日の戦い、琥珀がピンチになったら俺が必ず助けるからいつでも抱きついてきていいよ大好き!」


といういつもの明るい声と、


「お前の助けなんぞ死んでも要らねぇ、その上戦いの最中に人に抱きつくなんて反吐が出るわ」


それに対していつもの様に恐ろしい毒舌を飛ばす琥珀の低い声を聞く限り、彼らの仲は悪くなるどころか深まっている様だ。


「良かった、大也…!」


泣き喚きながら銀ちゃんに濡れたタオルを押し付けている仁さんを見ながら、私は安堵の微笑みを浮かべた。
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