ママの手料理
「大丈夫だよ、飲めなくはないからね。ほら琥珀も飲んで、コーヒーなら明日作れるから」


「壱、お前は金輪際タピオカを作るな。タピオカ作りは伊織と仁だけでいい」


グチグチと文句を言う他の皆と同様、私も嫌々ながらもタピオカミルクティーを一気飲みした。



そして、1時10分前になった。


mirageは、お揃いの黒いハーレムパンツにシンプルな色違いの色のトップスを合わせ、そこに笑美さんが買ってくれたあのボアジャケットを羽織りながら、決行における最後の確認をしていた。


「え、ボアジャケット着ても寒いんだけど無理無理無理!カイロどこカイロ!」


傍から見たら誰かと遊びに行く直前と勘違いしてしまう程の明るさでカイロを探しに2階に駆け上がる、まるで後ろ姿が熊の様な色のボアジャケットを着た大也や、


「銃3丁とスマホも持ちました、大也さん用のバナナも持ちました、サングラスもかけてます。準備は完了です」


1つ1つ指差し確認をして、ぎこちなく自分に向かって親指を立てている航海、


「ご主人様…、」


「大丈夫だよ、笑美。大丈夫だから。伊織と紫苑の為に夕飯をちゃんと作っておくんだよ。明日はクリスマスだから、奮発してパーティーでもしようね」


瞳をうるうるさせている笑美さんの頭を優しく撫でながら、安心させる様に彼女に笑いかける湊さんらを見て、私は拳を握りしめた。
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