ママの手料理
その為の切り札となりうる存在が、今まさに裸眼で闘い、敵の首を秒単位で折り続けている航海なのだ。


(早く、早く血を目に入れろ)


航海が変貌するまでのカウントダウンは、もう始まっている。


壱はこの状況が楽しくなりにやにやと笑うと、同じく笑みを浮かべているOASISの腹に強烈な蹴りを入れた。






━━━━━━━━━━━━━━━……………


「…んふふふふ、かーわいい!あの時何処に隠れてたの?ねぇ、何処に隠れてたの?」


伊織がどこかに行ってしまってからしばらく経った会議室では、ガンマと呼ばれていた人が、怖いくらいに高いテンションでぴょんぴょん私の周りを跳ねながら質問をぶつけてきていた。


「や、………」


うさぎのように跳ねて笑顔を作っているけれど、その目は全く笑っていない。


思わず、彼から目を逸らして口を真一文字に引き結んだ。


「なーに聞こえないよ?」


「………っ、」


(皆どこにいるの…!)


今が何時か分からないけれど、多分mirageの皆はOASISと戦っているはずだ。


けれど、今私がいる場所が皆のいる本部なのかが分からないし、そもそも皆は私の状況を知らないわけで、だから助けに来る事なんてあるはずがなく。
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