ママの手料理
「んー?俺が犯す前に言って欲しかったんだけどなぁ」


いつの間にか目の前に仁王立ちになったガンマが、飾らない地声で圧をかけてきた。


(…!)


はっと我に返った私は、彼の放つ殺気のあまりの怖さに自然と涙が出てくる。


「っ、……クローゼットの中、です」


「ふーん………クローゼットの中ねぇ」


私の震える声に、男は少し考える素振りを見せた後。


「それで?あの後皆の死体見て、うっひょーってなってぴえーんってなっておえってなって、そんで外に逃げ出してうろうろしてたらmirageに拾われた的な的な?やだー久しぶりにこんなに推理しちゃう俺って神!」


息継ぎなしで一気にまくし立てた。


その推理のあまりの的確さに、私はびくりと震えた。


「っ、………あの時居たんですか、?」


恐る恐る、蚊の鳴くような声で尋ねてみる。


その途端、彼は信じられないと言いたげに私の顔面を凝視して。


「居たも何も、俺がママンを殺したんじゃーん!あそっか見てなかったのかぁ、…ふふ、あははははははっ!」


今までで1番甲高い声で、お腹を抱えてギャハハと笑いだした。


(え…………!)


この人が、あの日私の家に居た…!?


最愛の家族を奪った張本人が、今、私の目の前で涙を流して笑い転げている。
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