ママの手料理
心の奥底から湧き上がる感情は、怒りと憎しみのみ。


「どう、して……っ!」


溢れ出る涙のせいで言葉が上手く紡げない。


「私だけっ…殺してくれれば、……」


(私だけ殺してくれれば、それで全て解決したのに!罪のない私の家族を巻き込むことは無かったのに!)


憎い。


今すぐこの人を殺してやりたい。


こんな人、人間じゃない。


「あの時、君のママンの顔やばかったんだよ?もう顔面崩壊!ひっひっひっ、もうちょっと見てたかったんだけどね、手が勝手に動いちゃってっ!」


あああ腹筋痛い…と言いながらも、彼はまた爆弾発言をして。


「………して、」


だから、私の声は彼の大きすぎる笑い声にかき消された。


「因みに因みに、布団に潜ってた子を殺したのも俺ー!あの子めっちゃ可愛いのね、優しく1発で仕留めてあげたよ」


まるでテストでいい点を取った時の子供の様なテンションで、そんな物騒な事を口に出さないで貰いたい。


(モモの事だ……)


7歳の彼女は自分の名前の影響もあって桃色が大好きで、いつも家族のムードメーカー的な存在だった。


それなのに、何が“優しく1発で仕留めてあげた”だ。
< 285 / 367 >

この作品をシェア

pagetop