ママの手料理
あんなに優しかった伊織だって、確かに最初からmirageを騙していたと言っていたけれど、こうして彼を本格的な行動に移させてしまったのは私。


私が死ねば、全てが終わる。


多額の保険金なんてどうでもいい。


私は、既にお金よりも大切なものを失った。


(確かに、mirageの皆と居るのは楽しかった…本当の家族みたいで安心できた、けど…)


目の前に私の家族を殺した殺人犯が居て、こんなに辛い思いをするくらいなら、今死んだほうがいい。


私は自分の目から止めどなく流れ落ちる涙をそのままに、目の前の金色の髪の毛を見つめ、しゃくりあげながらもう一度口を開いた。



「…私の事、殺したかったんですよね……ずっと生き延びてたけど、…もう、殺してください」







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「…ん?」


mirageの皆が居ない事で、無駄に広く感じる車の中。


硬すぎるスルメイカをかじりながらパソコンのキーボードを打っていた銀河は、ある事に気がついた。


このビルの8階、つまりOASISのボスと幹部の共有スペースとなっている場所に、見知った人のGPSのマークが点滅している事に。
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