ママの手料理
「…あいつ、本気だな」


銀河は大きくため息をつくと、mirageと繋がる無線機をオンにして自身の低い声を流し込んだ。


「キイロは今8階にいる。4階まででムラサキを発見してないなら、5階以上にいる可能性が非常に高い。…さっきも言ったが絵画の事は考えるな。OASISを殺して死ぬ気でムラサキを探せ」


武器貯蔵庫に関してはハッキング済みだから安心しろ…、と言った後、彼は無線機をオンにしたまま猛スピードでキーボードに何かを打ち込み始めた。


だから彼には、


『了解。…因みにキイロじゃなくてクロだよ…色の違いも分からないなんて…』


『ムラサキって何!?本名で言いなよ、何コードネームみたいにかっこつけてるの意味分かんないんだけど!…あー琥珀ナイス!次俺倒すから!』


という、仲間達の声が丸聞こえなのであった。


「…待ってろよ、あと少しだからな……」


それは、今まさに涙を流して生きる事を諦めている“ムラサキ”に言ったのか、それとも武器貯蔵庫に仕掛けた細工が成功しそうだから呟いたのか。


銀河は乾いてきた目をギュッときつく瞑ると、もう一度大きく息を吐いた。
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