ママの手料理
(怪我なんてしたら、ムラサキを見つけるのに時間かかるしね)


銀河が発したそのコードネームを心の中で呟いた湊は、ふふっと笑った。


この階に、銃やナイフを持ったOASISはまだ何人も残っている。


「よし、いっちょ頑張りますか」


湊はゴキゴキと首を鳴らし、柔らかな頬笑みを浮かべた。


「さあおいで。全員あの世送りだよ」







「やー!怖いってばあー!パンチしないでちょっと、顔に傷がつくってば!」


4階では、大也が琥珀と共に減らないOASISの駆除作業に追われていた。


生ぬるいパンチを片手で受け止め、反対方向に勢い良くねじ曲げる。


「うぎゃあぁあっ…!」


鼓膜が破れそうな程のその叫び声に顔を顰めたのは、同じ階で敵の鼻をちょうど折った直後の航海だ。


「…うるさいですね」


そう呟きながら、鼻が右方向に傾いたOASISを蹴り飛ばすと。


そいつは、何故か不敵な笑みを浮かべながらその場に倒れ込んだ。


(え…?)


その笑顔の意味が分からず、思わず航海が首を傾げると。


今まで敵が立っていた所のすぐ後ろに、同じく首を傾げながら航海に向かって真っ直ぐ銃を向ける、別の男が立っていた。
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