ママの手料理
「何だ?」
4階の隅でOASISを2人同時になぎ倒し、息を整えていた壱は、数回聞こえた発砲音に驚いて顔を上げた。
そして見たのは、
「おい、お前……」
発砲したせいでぐちゃぐちゃになった顔のOASISの首を未だに絞め続けている航海の手と、返り血を浴びて真っ赤に染まった彼の両目だった。
その恐ろしい図に、元ヤンキーという肩書きを引っ提げているはずの壱の身体に一瞬で鳥肌が立つ。
「お前何してんだ…そいつ、もう死んでるぞ」
ドタバタと絶えず音が鳴り響いていたこの階からは、いつの間にか音が消えていた。
僅かに残ったOASISもmirageも、航海と原型を留めていないマッシュルームヘアの男から目が離せない。
「…この方に、右足を撃たれてしまったので。お互い様ですね」
そして、ゆっくりと顔を上げた航海は、俺の目を捉えると、血のついた口を真横に広げて笑った、ように見えた。
何せ彼の口にも歯にも返り血が付いていて、まるで航海が人を食べたように錯覚してしまうから余計恐ろしい。
「や、航海撃たれたの…?大丈夫なのそれ、防弾チョッキは?」
恐る恐る、といった様子で、大也が慎重に言葉を選んで彼に話しかける。
それもそうだ、今の航海は“血を目に入れてしまった”のだから。
4階の隅でOASISを2人同時になぎ倒し、息を整えていた壱は、数回聞こえた発砲音に驚いて顔を上げた。
そして見たのは、
「おい、お前……」
発砲したせいでぐちゃぐちゃになった顔のOASISの首を未だに絞め続けている航海の手と、返り血を浴びて真っ赤に染まった彼の両目だった。
その恐ろしい図に、元ヤンキーという肩書きを引っ提げているはずの壱の身体に一瞬で鳥肌が立つ。
「お前何してんだ…そいつ、もう死んでるぞ」
ドタバタと絶えず音が鳴り響いていたこの階からは、いつの間にか音が消えていた。
僅かに残ったOASISもmirageも、航海と原型を留めていないマッシュルームヘアの男から目が離せない。
「…この方に、右足を撃たれてしまったので。お互い様ですね」
そして、ゆっくりと顔を上げた航海は、俺の目を捉えると、血のついた口を真横に広げて笑った、ように見えた。
何せ彼の口にも歯にも返り血が付いていて、まるで航海が人を食べたように錯覚してしまうから余計恐ろしい。
「や、航海撃たれたの…?大丈夫なのそれ、防弾チョッキは?」
恐る恐る、といった様子で、大也が慎重に言葉を選んで彼に話しかける。
それもそうだ、今の航海は“血を目に入れてしまった”のだから。