ママの手料理
「防弾チョッキは胴体を守るものです。それに、別に痛くないので大丈夫です」


静かに答えた彼は、まるでおもちゃを投げるかのように殺した敵をポイッと投げ捨てた。


「お前、目は平気なのか…?」


今まで黙っていた琥珀も、OASISに馬乗りになった体制のまま静かに尋ねる。


「目…」


そこで、彼は初めて気づいたと言わんばかりに周りを見渡し、自分の顔をぺたぺたと触って。



「…ふっふっふっ、……あははははっ、!…目が、視界が真っ赤です!真っ赤ですよ!」


狂ったように大声で笑いだした。


その余りの怖さと豹変ぶりに、航海の周りにいたOASISが数人たじろいで。


「だ、大丈夫だからね航海、落ち着いてね、間違っても俺らを殺さなければ何やってもいいからさ」


その様子を見た大也がそっと、腫れ物を扱うかのように優しく航海に語りかける。


「ええっ、この状況で落ち着けって言うんですか?無理ですよー、…あ、殺す」


笑いを含んだ声のままくるりと後ろを振り返った彼は、今まさに逃げようとしていたOASISの1人を新たなターゲットとして捉え、地を這うような恐ろしい声を出した。


「っ、」


相手側も航海の声の低さに驚いた様で、けれど航海はそんな事はまるで気にせず。
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