ママの手料理
いつもは大人しい航海だが、彼の性格は特定の条件の元、つまり“血を目に入れた時”に豹変する。


“敵”と見なしたものは誰でも容赦なく怪我を負わせ、殺してしまう。


その覚醒された圧倒的な強さに、mirageの中で右に出る者は存在しない。



何でも、彼が自分の家族を殺めてしまった際も彼は家族の血を目に入れたらしく。


自分ではほぼ記憶が無い中、隠された本能の赴くままに殺してしまったらしい。


そして今、血を目に入れて秒単位で敵の首を折り、みぞおちに強烈な蹴りを入れている彼こそが、本当のサイコパスである。


「サ、サイコパス出たぁ……」


覚醒した彼のおかげでほとんど敵が居なくなった4階で、大也の情けない声だけが反響した。







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「え、覚醒したの?幹部殺したの?凄いなぁ航海!まあ、もう命の大切さは忘れちゃったみたいだけど」


4階の出来事を全てイヤホン越しに聞いていた湊は、目を輝かせて目の前の敵の肩を脱臼させた。


(もうこっちも全員倒したから、次は5階かな)


イヤホンからは、


『航海のお陰で全員ぽっくり逝っちゃったから、ムラサキが居ないか探したら5階に行こう!』


という、大也の明るい声が聞こえてくる。


「こっちも終わったから、5階で合流しよう」
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