キミに、愛と思いやりを
花蓮side
「晴翔、来翔。病院行くぞ」
あたしが、晴翔くんと来翔くんをお母さんに会わせようと提案した翌日の放課後。
財布と携帯を入れたバッグを持ちながら、宇野くんは言った。
「母ちゃんのお見舞い?」
ゲームをしていた手を止めて、晴翔くんが言った。
「そう。もうすぐ、お母さんに会えるよ」
あたしは、晴翔くんと来翔くんに微笑んで言った。
「よっしゃー! 来翔、はやく!」
「うん!」
そう言って、晴翔くんと来翔くんはあたし達よりはやく玄関で靴を履き始めた。
「こんなんでいいのかな……」
宇野くんは、弟たちを見ながらぼそっと呟いた。
晴翔くんと来翔くんは、小さい男の子特有の大きな声で学校であったことを話し合っている。
「ん?」
「いや、おとなしくしろって言ったはずなのに、こうだから……」
「ここは家だから。家くらいは、好きにさせてあげよう? ここでもおとなしくするよう言っちゃうと、晴翔くんも来翔くんも息苦しいよ」
「まあ、そうだな……」
宇野くんは、苦笑してあたしと玄関の方へ行った。