キミに、愛と思いやりを
「宇野くんって……ええっ!?」
麗羅が、教室に響き渡るくらいの声を上げた。
翌日のホームルームが始まる前に、あたしは麗羅に宇野くんのことを話した。
みんなは一瞬びっくりしていたけれど、すぐにあたし達から目を逸らした。
「花蓮に告白した人でしょ? いいの、一緒で?」
「放っておけないよ……。あたしがやってるのは、弟くんにご飯作ってあげてるだけだけど……」
そう、助けるかどうかは告白を振った人かどうかなんて関係ない。
「え? 宇野くんって、弟がいたんだ……」
「そう。小学2年生で双子なんだって」
麗羅、宇野くんに弟がいないこと知らなかったんだ。
あたしの方には、そういう情報がいってたのにな。まあ、1番最初に情報が流れたのはあたしも分かんないけど。
「へぇー、宇野くんの弟可愛い?」
「可愛いよ。ハンバーグ作ってあげたら、『おいしい! 花蓮お姉ちゃん、ありがとう』って言ってくれたの」
「『花蓮お姉ちゃん』って呼ばれてるの!? いいなあ、あたしも小さい子に『麗羅お姉ちゃん』って呼ばれたい」
目をキラキラさせる麗羅。
あたしも麗羅も1人っ子だからね。
なんだかそういう気持ちを、改めて分かち合えた気がするよ。