キミに、愛と思いやりを
「歩ー、おまたせ! 聞きたいことって何?」
あたしは明るく言ってみたけれど、歩の瞳に光はなかった。
歩……機嫌悪い?
「あのさ……。どういうことなのか聞きたくて」
見ると、歩の手にはスマホが握られていた。
「なにこれ? スマホがどうかしたの?」
歩は、あたしの質問に一言も答えようとしないであるムービーを再生した。
「えっ……?」
ムービーに映っていたのは、あたしと宇野くんの2人だった。
『そう? あたしが作るご飯、そんなに美味しいかなぁー』
『うん。あいつら、不味かったら残したりするし。小園さんの飯は毎日あんなに美味しそうに食べてるんだから。美味いに決まってるって』
『そう言ってもらえると、嬉しいなぁー』
いつの間に……こんなムービーが撮影されていたなんて。
固まったあたしをよそに、歩は他のムービーまで再生する。
どれも、あたしと宇野くんが夜ご飯の打ち合わせをしている話ばかりだ。
「なんなの、これ?」
「こんなの……撮影してたの……?」