キミに、愛と思いやりを
「そういえば宇野、一緒にいた奴らは?」
歩が唐突に聞いてきた。
そういえば始めて再会した時、友達が何人かいたよね。
「あいつらのことか。もう学校以外では会ってない」
なんでもないという風に、宇野くんは答えた。
「え!? 大丈夫!?」
「うん。友達も大事なんだけど。俺の家庭の事情を話したら、『弟やお母さんを大事にしろ』ってみんなに言われたんだ」
だけど前みたいに友達と楽しく過ごすことがなくなって、宇野くんは寂しいに決まってるよね。
もし、あたしが麗羅と話すことが減ったら寂しいし。
「そっか。でも、たまに会いたくない?」
「いや、学校ではちゃんと会えてるし、自由なことができないのは正直しんどいけど、あいつらも母ちゃんに会えなくて寂しいに違いないし、母ちゃんが本当に今大変だからな。
辛いのは、俺だけじゃないって思う方が気が楽だよ」
本当にすごい。
同い年と思えないくらい、しっかりしている。