キミに、愛と思いやりを
花蓮side
「かれーん! そろそろ、起きないと遅刻になるわよ!」
「はい、お母さん!」
お母さんの大声で、あたしはベッドから飛び起きた。
朝食を食べて、洗顔をして、歯磨きをして、制服に着替えて、髪を結ぶ。
ごく当たり前のことを、いつものようにやって、
「行ってきます!」
と言ってから、外を出た。
「行ってらっしゃーい!」
手を振っているお母さんに手をふり返しながら、あたしは小走りで学校へ向かった。
「……へっくしゅっ!」
木枯らしが吹いてきて、思わずあたしはくしゃみをした。
「はぁー……」
両手に息を吹きかける。
息も白い。
だいぶ寒くなってきたな。
もう12月か。
首に巻かれた赤いマフラーがゆるんできたのに気がついて、あたしは巻き直す。